Interview with Mauerfall
“人と人との壁を壊したい。困難などの壁にぶつかった時にそれを乗り越えたい”
東京発ネオクラスト、暴走機関車Mauerfall。次々に繰り出されるALPINIST直系の鋭角リフ、不協和音、叫び、ブレーキの壊れた怒濤のリズム。それらが一体となり爆走する轟音のハードコアに聞くものは圧倒される。その暗い轟音の絶壁の向こうに見える美しい沖縄の原風景。バンドの中心人物であるギターの金城さんにMauerfallとは何者なのか聞いてみた。
Mauerfallは結成当時からずっと気になって動向を追っていました。金城さんが結成のキーマンなんですね?『Il』の5曲目あたりのディープな展開がツボでした。深化してますね!!曲作りは金城さんがやってるんですか?
結成当初からですか!恐れ多いです。そうです!自分で言うのもお恥ずかしいですが笑。
3年程前に地元沖縄から上京しまして、東京で自分のバンドを作りたいと思いメンボサイトを使ってメンバーを募りました。そこで今のベースとドラム、あと初代のボーカル加入して結成しました。
ボーカルは、現在3代目になります。
ありがとうございます!あの曲、当初はもっとネオクラストを意識して作りたかったのですが、元々私が激情ハードコア畑で育ってるのもあって作っていくうちにあの形になりました。主に自分が作ってます。最初にDTMで一通り楽曲を全パート作ってそれをメンバーに共有してます。ボーカルは歌詞と歌い方等、基本お任せにしてまして、イメージと合わない部分は伝えて直してもらってという感じです!
なるほど。あの曲はそうだったんですね!
ネオクラスト的なんですけど、激情感が溢れ出ててそこがまた美しいですね。金城さんが東京に来てから、激情ではなくあえてネオクラストに行こうと思ったのはなんでですか?
沖縄では激情のシーンにいたんですよね?
ありがとうございます!美しいなんてそんな!いつも綺麗にギター弾けなくて苦悩してますよ泣。
ネオクラストは一緒にバンドをしている先輩からAlpinistを教えてもらって好きになったのがキッカケです。
力強いギターとベースに凄く速いわけではないのに疾走感があって気持ちいいドラムにハマりました!
そこからMasakari、Jungbluth、Ekkaiaと芋づる式に知りました。
特にAlpinistはダークな要素があったのも好きな要因です。主にダークな要素のあるネオクラストに自分の得意な不協和音フレーズを加える楽曲をしたいと思いこのバンドが始まりました!たまに昔の名残りで激情、カオティック要素が入るという形です!
金城さんの激情、カオティックのルーツが正にネオクラストの歴史とリンクしてて、絶妙な融合を果たしてますね。羨ましいです(笑)
沖縄ではthe cops are inside usをやってたんですよね?沖縄での金城さんの音楽的影響源、ルーツを教えてください。特に影響されたアーティスト、バンド、人などなど。
個人的にはもう少しネオクラストに寄せて行きたいと思ってメンバーと研究しているんですけど、作った曲がほぼほぼ激情になってしまう時もあるんですよ笑。
そうです!(the cops are inside usは)一応遠距離で今も細々と続けています。このバンドが1番経歴が長く、今の自分を形成してくれたバンドです!
自分のルーツは父がB'z好きで小学6年生の頃にハマってそこからバンドが好きになりました。
あと、歳の離れた兄がバンドをやっていたのでちょくちょく勧められた音源を聴いてました。Hi-STANDARD 、MOGA THE ¥5、eastern youthとかです!
バンドやりたいと思い始めたのは高校生の頃で当時バンド仲間がほとんどいなかったので大学の音楽サークルからが自分のバンド人生の始まりです。その時はギターボーカルやってました。
そこから19歳の時にサークルの先輩がoff seasonでベースをやっててライブに誘われたんです。スタジオライブだったんですが、出演していたのがthe cops are inside us. 、unripe、off seasonで今までになかった衝撃を受けまして、そこから激情にどっぷりでした。自分の音楽のルーツは沖縄の先輩バンドからの影響が強いです!今でも地元の先輩達はカッコいいですし尊敬していて、先輩達から学んだ事を軸にバンドをやってます!
沖縄の激情、なかなか熱いですね。金城さん(そしてMauerfall)がめざす音を教えてください。
熱いですね!特にunripeは自分が小学生の頃から活動していて今でもバリバリ現役でやってます。
今年2月にMauerfallで帰省ライブしたのですが、その時unripeと対バンしてギターボーカルの龍志さんとか全くの衰え知らずで「先輩、いつになったら世代交代させてくれるんですか!?」って思っていつも圧倒されます!
自分達はまだ手探りな状態ですが、現段階では暗くて不協和音で疾走感のあるバンドを描いています。
あと、パワフルで重厚な演奏と音作りを出すようにしてます!
誰にも負けないパワー感といいますか!
Mauerfallのこれからの進化がめちゃ楽しみです。ライブも音源もめちゃパワフルですから。現在の東京周辺のシーンはどうですか?面白い動きなどあれば教えてください。
ありがとうございます!いつもフルパワーで出せるように日々精進してます!あとはジム通って筋トレして物理的なパワーも身につけるようにしてます笑。
東京ではsans visageのコウくんがイベント沢山やってて頑張ってますね!外国人バンド招聘もしてますし、自分より若いのに凄いなぁって思います。
このバンドを始めてから自分より年下の子達と関わる事が増えてきてフレッシュで自分達世代にはない価値観と音楽性が出てきて面白いなぁって思います!
あと、後輩ができるくらい自分年取ったなあって笑。地元ではずっと下っ端要員でしたので。
copsが先輩バンドってのもあって自分が20代の頃は先輩と関わる事が多かったんですけど、その方達と今の後輩達を見てると世代観の違いが身近で見れるので良いですね。
それと、後輩には若い時にしかないパワーを貰えます!
若いバンドにはすごく刺激されますね。めちゃくちゃ色んな音楽聞いてたり、考え方が面白かったり…。Mauerfallの周りで、金城さんの周りでもいいんですけど、ネオクラストやってる、またはネオクラストやろうとしてる人たちっていますか?
自分よりも音楽詳しくて驚きます!Mauerfallの3代目ボーカルも20代半ばと若いのですが、知らないバンドばかり出てきて面白いですね。
姫路で対バンしたRalmもオペラがばっちりハマってて衝撃でした!自分もクラシックをたまに聴くのですがコードをバンドで取り入れたりしてるので、凄い共感が持てます!
(ネオクラストをやっているバンド)見かけないですね〜自分が激情畑に入り浸っているからっていうのもあるとは思いますけど、「同ジャンルやってます!」ってバンドは中々現れないですね。ネオクラスト仲間募集してます笑。
ネオクラストの話はMauerfall内が殆どでして、あとはジャンル違うのですがagakのたかとりさんが個人ディストロ(TheScytheWillRustAway DISTRO)でネオクラストも取り扱っていて詳しいので教えてもらったりしてます。神です笑。
新しいボーカルの方、めちゃくちゃバンド知ってますね。ネオクラスト周辺のバンドもかなり聞いてるみたいでびっくりしました。
RALMはアートや表現について深く突き詰めてる感じがめっちゃしますね。
なるほど、agakのたかとりさんが詳しいんですね。覚えておきます!
なかなかネオクラストをやりたいっていう人いないんですね(分かってはいましたが…笑)。
では、Mauerfallの他の3人のメンバーについて紹介をお願いします。
湯浅です!よくあんなに沢山バンド覚えきれるな〜って思いますよ。彼はバンド情報の仕入れ担当任命ですね笑。
(RALMは)バックドロップも掲げてライブしてましたからね〜デザインにこだわりを感じましたね!全員、緩めな服装に統一してたのも何か理由がありそうですね。歌詞もおそらく英語じゃないんですよね。違う言語で攻める所がまた興味深いですね!
(ネオクラストは)自分が認知してないだけでもしかしたら既にやってるバンドいるかもしれないですね。
湯浅が言うには若い世代にはダウンビート系の音楽が流行ってるって言ってましたね。
では、加入した順に紹介します。
【ベース:村松】
彼が最初に加入したメンバーです。年が一緒って事もあって意気投合しました。元々past passageってメロディックのバンドをやっていて、ハードコアバンドをしたくて加入したそうです。
【ドラム:山田】
2番目に入ったメンバーです。彼も年が近いです。彼は一時期関西で仕事していて、大阪でガールズポップバンドをやっていました。早くて激しいドラムが叩きたいと言う事で加入しました。
【ボーカル:湯浅】
3代目ボーカルです。若いです。
zombie non-humanというノイズコアをやっていて、掛け持ちでボーカルをやりたいとメンボの記事を村松が見つけて誘いました。元々Mauerfallの事は認知していたようでファンだという事で即加入でした笑。メンバーともすぐ馴染めていたので。ちなみにですが、3名ともメンバー募集サイトから出会いました。
姫路でMauerfallのメンバーとお話ししましたけど、皆さん気さくで音楽に対してピュアなところがGOODでした!さっきクラシックを聞いていると言っていましたがどんなものを聞いていますか?楽曲に影響を与えたりしますか?
ひたすら悲しくて暗い曲を聴いてます。気持ちがずーんってなっちゃうような笑。バッハの「トッカータとフーガ」、ベートーベンの「月光」が暗くて好きです。あと、「映像の世紀」っていうNHKの特番がありまして、それのテーマ曲、加古隆の「パリは燃えているか」はめちゃ悲しくて戦慄します。
「II」の4曲目はクラシックのコード進行使ってます!イントロの部分だけではありますが笑。
クラシックってメロディがドラマチックで激情ばりにうおおー!ってなるフレーズがあるので、取り入れたら面白い物が生まれるんじゃないかなーと思って聴いてます。既に取り入れてるバンドはいるんですけどね笑。
加古隆さんの「パリは燃えているか」は恥ずかしながら知らなかったんですけど、いいですね!実は、普段あんまりハードコア聞いてなくて、よく聞いているのがクラシックや現代音楽、映画音楽などのインスト音楽なんです。有名どころで言うと、ベタですけど(北野武などの映画音楽の)久石譲とか、坂本龍一とか、Max Richterとか聞いてます。
悲壮感漂ったピアニストなので加古隆オススメです!
クラシック良いですよね。確かに、KUGURIDOとのスプリットの2曲目もインストですよね!自分もディレイとか使ってアンビエントインストフレーズ作って遊んでたりします笑。
映画音楽ですと、ターミネーター1のディスコでヒロインが襲われてそこから逃げる時のBGMとか緊迫感あって好きです!久石譲、自分も好きです。特にOriental Windが好きで別バンドで一部だけフレーズアレンジして曲に組み込みました。教授もかっこいいですよね!自分はYMOが好きなんですよ〜君に胸キュンとか!笑。
max richter、初めて聴きましたけど良いですね!バイオリン弾ける人ってかっこいいですよね。
クラストの話に戻っちゃうんですけど、Remains of the dayとか良い具合にバイオリンを入れてくる所がたまらないです!
Remains of the dayはめちゃ好きですね。あれを2000年初頭にやってたというのが驚きです。アメリカってほんとに音楽的に豊かだと思いますね。ゴリゴリのハードコアに自然とバイオリニストが入るんですから。日本でもそういうバンドが増えると面白いだろうなって思います。金城さんもギターでアンビエントなインスト作ったりしてるんですね。聞いてみたいです。
では、Mauerfallというバンド名に込められた意味と2020年の展望と目標を教えてください。
Mauerfallって直訳すると壁崩壊って意味なんですけど、ベルリンの壁崩壊に使われてるそうなんです。そして、その崩壊した年が自分が生まれた年と一緒という所から候補になりました。
簡潔に言ってしまうと人と人との壁を壊したいとか困難などの壁にぶつかった時にそれを乗り越えたい、壊したいというごくありふれた由来なんです笑。
自分が上京したての話に遡るのですが、東京に居て感じてた事は人と人との壁を凄く感じました。
友達がほとんどいなかったですし、仕事してる時は地元よりもシビアで当たりが強い、人が多過ぎて電車では人との物理的距離感は近いけど遠くに感じる(まぁこれは他人同士なのでしょうがないですが)。
地元を離れてバンドもまともにできてなかったですし、愚痴を言い合える友人も近くにいなかったので悶々とした日々が1年位ありました。
その時の苦難を乗り越えたいというのをバンド名にしたくて考えた結果、1番当てはまるのがMauerfallでした。
それからバンドを立ち上げて偶然今のメンバーに巡り合えてバンド仲間が増えたり掛け持ちでバンドできるようになったので、バンド人生は充実してます!
ちなみにですがTシャツデザインとかジャケット、バンド単体でのイベント名も壁をコンセプトに作品を作るようにしてます。「II」のジャケットは山感が強く出てしまったのですが、本当は壁のような山をイメージして写真を選んだんですよ笑。
2020年の目標は2作目のレベルを更に超えた曲作りと演奏の更なる強化、常に200%振り切ったライブをして行きたいと思っています!
まだまだ課題点が沢山あるので今のレベルに満足しないように日々精進しようと思います!
凄い。Mauerfallというバンド名にそんな意味があったなんて…。Mauerfallのライブを生で聞いたとき、そして、『Il』を聞いて確信したんですけど、このバンドは“生身の人間”の音がするなあ…でも、それだけじゃなくて孤独に爆走する音だなあと思ったんですね。これって正に僕が大好きなハードコアパンクの魂なんです。孤独だけど叫び続けて爆音で駆け抜けるんです。そうすると何か分からないですが、見えない壁を壊すことができると信じて走り続けるんです。そういうものを感じたんですが、今そのバンド名の由来を聞いて間違いないと思いましたね(笑)
ありがとうございます!バンドを始めた頃から全力で演奏するのが好きで、copsをやっている時も精密な演奏よりもパッションが大事と教えられていたのが今の自分のスタイルになって、それをメンバーにも共有しています。
なるほど。沖縄で培ったものが今しっかりMauerfallで息づいているんですね。最高です。
では、金城さんの大好きなアルバム(曲単位でもオーケーです)を10タイトルお願いします。自分が影響された音楽、思い出のつまってるもの、単純に大好きなもの何でもいいです!
■1.the cops are inside us. 「Square Room」
自分が入る前、初期メンバー時の音源です。特に1曲目から2曲目に入る所が戦慄します。初期リードギターの方が上手すぎて驚愕します。この方を超えるギターが弾けなくていつも葛藤していました。
1曲目のおもちゃの音が出る銃を使ってディレイをかますプレイは未だに上手くアレンジできずに悩んでいます。
■2.unripe 「melt」
「Affirmative Compilation」という沖縄メンツのみでのコンピレーションアルバムにこの曲があります。轟音爆音に絡み合うギターにその隙間の音域を埋めて更に壁を作り出すベース、そしてその轟音爆音をもろともしないハイパワーなドラムは生で見ると迫力満点です。20歳の頃、unripeのライブは毎回見に行ってた頃を思い出します。
■3.unfaded KUGURIDO split EP
「永遠の光」で1人合唱した後に「Outro」で一息ついて「低魚」でテンション上げてからの「思残渣」で1人シンガロング、「ヒダルガミ」と「250線」でひらすら突っ走ってからまた永遠の光ー!をhitori合唱して〜とループをしていつも聴いてます。姫路での遠征が最高に楽しかったのでまたライブしたいです!
■4.Alpinist 「Lichtlaerm/Minus.Mensch」
自分が始めてネオクラストを知った音源です。2曲目のRogenを聴いた時に衝撃が走りました。Rogen,AIDT,Yarncarrier and Break,2TE Klasse Bahabteil…とにかくコピーするのが楽しくて沢山覚えました。(Masakariとのスプリット音源も最高でそれもコピー網羅してました。 )特に6曲目,NeverRestの始まりはなんとも言えない圧倒的強さを感じて7曲目,Project Fatigueの1分43秒辺り,スパークする1歩手前のようなフレーズが最高です。今でもこのアルバムを聴き返して自分達と比較して研究しています。
■5.山下達郎「RIDE ON TIME(アルバム)」
親戚から借りてから好きになったアルバムです。4曲目のRIDE ON TIMEは海沿いをドライブしながら聴くと最高ですしカラオケ行くといつも歌ってます。特に好きなのは「いつか」「DAYDREAM」「RIDE ON TIME」「MY SUGAR BABE」「おやすみ」です。
■6.Neil Perry 「Lineage Situation」
cops入りたての頃にギターボーカルのヒロさんに1番最初に教えてもらったバンドです。ライブ映像でサウンドチェック中にギターが轟音でかき鳴らしながら叫んでる姿はものすごく邪悪さを感じます。サウンドチェックで戦慄させるバンドは絶対かっこいいですし、終わった後も耳にサウンドが残ってるんですよね。
1曲目の激情カオティックから入って途中クリーンフレーズに変わるのですが最後までクリーンで逝きパートを終わらせるのが凄く斬新でした。
■7. You And I「Discography」
いなたいクリーン音から不協和音のリフに変わったり急に走りだしたり時には電話のコール音を使ったりアコースティックなパートもあったりと1曲にどれだけ詰め込むんだってくらいフレーズが多いバンドです。
特に3曲目の前のめりで歌い倒してくるボーカルが凄い勢いと疾走感があって最高なバンドです。
たまに不協和音フレーズを入れてくる部分は自分もギターフレーズで参考にしています。
■8.小田和正 「ラブストーリーは突然に」これはもう東京ラブストーリーですよね。超ベタなトレンディドラマですけど、自分は世代ではないのでそれが逆に新鮮に感じて面白かったです。赤名リカのメンヘラチックだけど実は周りが見えてる子でカンチに気を使ってたりツンデレしたかと思ったらストレートに愛情表現してるところが良いですね。この曲もカラオケで歌いたいのですが音程が高音過ぎて歌えないんですよね泣。練習して原音キーで歌えるようになりたいです。
■9.Yaphet Kotto「The Killer Was In The Government Blankets」1曲目の「First Meetings Agreement」が最高です。ライブ映像を見た時に縦長にせまい部屋で演奏してて、そんなせまい所でも皆全力で演奏、ドラムは最初の4カウントから全開で首を振っていて、更にボーカルマイクは1本で叫ぶ人と歌う人で交互にマイクを使っているところが凄くグッときます。
■10.TATETSU KATSUHIRO「amayadori/ameagari」
沖縄のギタリストで1番心にグッとくる演奏をする人だと思います。
kier and Desertのバンマスであり、off seasonの元ギターでした。
この方のギターを聴いてると沖縄を思い出してほっこりした気持ちになるんです。
もうバンドやめちゃったみたいなのですが、もう一度生で演奏を聴きたいです。
個人的には4,7~9,16曲目がおすすめです。
グーニーズのカバーもこのアルバムに入ってるので是非是非。
スプリット入れていただいて恐縮です。ALPINISTヤバいですよね。“rogen”、“NeverRest”、“Project Fatigue”あたり強すぎますね。変幻自在のドラミングとギターに圧倒されます。ALPINISTってカオティックとdeath'n'rollとグラインドとDビート(クラスト)が奇跡的に融合しててほんま唯一無二のバンドです。YAPHET KOTTO、僕も大好きですね。
恥ずかしながら知らなかった沖縄のthe copsとunripe熱いです!!Neil PerryとYou and I も知らなかったんですけど、めっちゃ良いですね。好きになりました!Neil Perryのクリーンのインストが素晴らしくて狂気すら感じる轟音とのギャップがツボでした。ギターの静寂と轟音のグラデーションがほんと美しくて聞き入ってしまいます。名盤ですね。沖縄のTATETSUさん何かめっちゃ気になるのでチェックしてみます。
Alpinistはタダのネオクラストではない、他の要素も取り入れた唯一無二の形があってそこにもグッときます!
death'n'roll(※)始めて知ったのですが、聴いたら確かにAlpinistにある要素満載ですね!面白いです!
※entombedの3rd以降の音に代表されるデスメタルとハードロックのクロスオーバー。
熱いです!この2バンドが沖縄の激情シーンを作ったと言っても過言ではないです!
(Neil PerryとYou and I)めちゃかっこいいバンド達ですね!しかも音が全体的にぐしゃってしてる所が最高です!(TATETSUさんは)自分が本人と連絡取れますので在庫あるか確認取れます!
TATETSUさんの件、ありがとうございます!!では、故郷の沖縄への思いについて自由に聞かせて下さい。
そうですね〜時折り故郷が恋しくなる時もあるので、定期的に帰るようにしてます。その時に家族の近況聞いたり甥っ子の成長を感じながら面倒見たり地元の友達と呑んだりしてます。その中で自分の家族に今までお世話になった分もっと大事にしないといけないなぁって地元の友達とは離れてても繋がってたいなと痛感してます。
地元離れるとまったく連絡取らなくなる人もいるんですけど、昔と変わらずに呑みに集まってくれる友達は本当に感謝ですし、これからも繋がっていきたいと思ってます。
あと、沖縄に若手のハードコアバンドもっとでてきて欲しいです。できれば激情で出てくれると尚嬉しいです。そういう子たち出てきたら仲良くしたいですね。東京との橋繋ぎ役になってもいいので。そんな感じです。
いいですね!若い沖縄のハードコアバンドと東京との橋渡し役、金城さんにしかできないことだと思います。僕も実は故郷は島根で、山育ちなんで超ど田舎出身なんです。だから、故郷のことを大切に思ううまく言葉にできない気持ちがあります。でも、子供の時は、故郷の閉鎖的なところが大嫌いだったんですけどね(笑)
金城さんは、東京に出てきて気持ちの変化とかありました?例えば、行く前は憧れや期待があったけど、実際に来てみると幻滅したとか、逆にやっぱり凄いと思ったとか…。あと、今の沖縄を東京から眺めたとき、どんな風に見えますか?
島根出身なんですね。進学か就活とかで奈良に出てきたんですか?
閉鎖的な部分は沖縄にもありますね。
田舎は村社会ってよく言われると思うんですけど、そういう部分が地元に住んでた当時自分も嫌でしたね。自分達の殻の中でしか生活しないといいますか。皆がそういう人達ばかりではないですけどね。東京は厳しいというのを覚悟の上で上京したのですが、現実は想像を遥かに超えてました。特に満員電車が辛いですね。地元にいた頃は徒歩15分とかでゆるりと音楽聴きながら通勤してたので、ぎゅうぎゅうに押し込まれた状態での通勤がストレス溜まるとは思ってなかったです。あと、転職活動が思ったより厳しかった事です。特にこれといったスキルを持っていなかったので、就職が決まらず3ヶ月くらいニートしてました。なんとか食いつないで行こうと日雇いのバイトとかやってそれがまた色々と辛かったりしてました。
今は就職もできて沖縄にいた頃よりも稼げるようになったのでなんとか生活できてます。東京便利だと思ったのは欲しい機材がその場で買いに行ける事です笑。ネットサーフィンして、これ欲しいから試奏してみたいってなったらすぐ御茶ノ水に行けたりするので、つい勢いで機材を買ってしまいます笑。
今、沖縄を見ると凄くゆったりしてるなぁと思います。上京する前から感じてはいましたが、よりそう思うようになりました。ただ、悪いことには捉えてなくてそのゆったりとした環境が平和に感じて落ち着きます。だからこそ定期的に実家に帰って癒されるようにしてます。
僕は中学出てから奈良の全寮制の高校に行ったんです。当時の寮生活はまだ体罰とかも横行してた時代で、今考えると酷かったです(笑)でも、その時のクラスメイトは戦友みたいで絆が生まれたので、楽しい思い出も多いです。子どものとき、実家が嫌で家を出たくてしょうがなかったんで、そんな寮生活も当時はあまり苦では無かったです。
沖縄めちゃ行ってみたいです。すごくゆったりとした時間が流れていて自然が美しくて癒されるんだろうなと思います。沖縄に行ったらここは行った方がいいという場所ありますか?それと、金城さんと同世代の沖縄の若者たちは(いろんな人がいると思うんですけど)どんな人々ですか?また、金城さんより年下の沖縄の子たちは金城さんから見てどんな違いがありますか?
気温も全然違いますし、天気の良い日に車で北向きにドライブするとより南の島を感じれます!ネオパークという超ローカルな動物園がオススメです!直に動物と触れ合えるのと、ローカル感満載でリアルな沖縄を堪能できると思います!
あとは御菓子御殿 恩納店ですね!紅芋タルトの自動製作機があって紅芋タルトが作られてる工程をひたすらに眺めるのが最高です!そのついでに近くに海があるのでそれを眺めて近くにある「パニラニ」という美味しいハワイアンパンケーキを堪能します笑。
自分の同世代は仲良しが多いかもしれないです!大学サークルの同世代とは卒業しても遊ぶ事が多くて今でも集まって呑んだりしてます。この間は大阪に旅行もして、楽しい思い出を作れました。あと、自分の周りはゲーム好きが多いです笑。最近会った時はゲームの為に自作のパソコン作ってました笑。実は地元の年下の子とあまり関わりないんですよね泣。ずっと先輩か同世代の友達と遊んでました。ただ、先輩達に比べると自分達世代辺りから大人しい人が増えたのかなーって感じはあります。あまりはっちゃけるような事はしないといいますか。今思うともうちょっと仲良くしとけば良かったなぁって思います。
確かに一緒に生活してると絆深くなりますよね!自分はシェアハウスに住んでた時期があるんですけど、そこで仲良くなった友達とは今でも定期的に会って遊びに行ったりしてます!自分も家庭で波乱万丈な出来事があったのでその時は辛かったですね。
金城さんも昔はいろいろあったんですね。みんな各々何か大変だった思い出ありますよね。そういう辛かった経験というのは、自分の音楽に影響したり、昇華されたりしますか?
皆、苦労した人生を過ごしてますよね。その辛い中で怒りとか不屈の精神が生まれてそれを表現したらハードコアに行き着いたのかなぁと思います。自分も最大限に自己表現できるのが激情でした。先輩によく普段の生活が自分の音に現れるって言われていたのですが、確かに自分も上京して辛い生活をしていたのでそこから自分の音や演奏スタイルが変わったかもしれないです。
地元にいた時も怒りとか感情を爆発させるのを表現していたんですけど、先輩達よりも弱いなと感じてまして、1人暮らしをする事によって誰にも頼れない環境になったのと社会に揉まれて気が抜けないからちゃんとしないとって思うようになりました。又、辛いとは別なんですがMauerfallを始めてからも自分が取りまとめてるという事もあってより一層責任感が強くなりました。どうやったらもっと自分の曲を深い部分まで共有できるか、得意と不得意な部分とメンバーの特徴を見てどうバンドに上手くグルーヴさせるようにするか、逆に自分が合わせるスタイルに変えてみてグルーヴできるか等、考える事が増えましたし、自分の芯の部分がしっかりするようになったかもしれないです。あと、仕事中や忙しい時に曲が思い浮かんだりしますので、自分にとって曲の源は社会に揉まれている中で生まれる事が多いのかなと思います。逆に休みの日に1日中曲作りしようってなっても全然ネタ出てこないんですよね泣。
「普段の生活が音に現れる」というのはその通りですよね。毎日仕事で辛かったり疲弊してたりすると音楽によってそれらを解放したときの浄化作用が凄いし、その感情がもろに演奏に出ますよね。あと、若い頃に出る爆発力と年取ってからわき出る憤りみたいなものの違いも面白いです。若い頃にしか出せないもの、年取ってから出せるもの両方あって、どちらも貴重だと思います。バンドをまとめるのって本当に難しいですよね。リーダーが引っ張っていかなきゃいけないですけど、お互いの持ち場(パート)を信頼して干渉しすぎないこと、お互いがその楽曲で気持ちよくなれるというものを取捨選択すること、完璧を求めないこと…などを考えて、その上で深化をさせていく試みが必要で…。大変ですよね(笑)Mauerfallは現メンバーは仲も良さそうでいい感じに見えます。
沖縄の先輩たちの「怒り」というのはどういう怒りですか?生活に根差した個人的なものですか?もっと大きな沖縄のこととかですか?
確かに違いありますよね!初期衝動と言いますか、若手は瞬発力のある爆発のようにフレッシュに見えます!それが歳を重ねると初期衝動はなくなっていくけどそれと同時に重みが出てくる感じがありますね!(バンドって)もはや仕事と一緒ですよね笑。組織として目的があってそれを遂行する為にまとめ役がメンバーを見極めて各々の役割を果たす。そして、任務を一個一個こなしていくんですよね。
完璧を求めないのも確かに大事ですよね!メンバーができるようになるのを待つっていうのもありますけど、例えば単体で聴いたら良くないなって思う部分を他のパートがカバーするかそれに合わせてフレーズ作ると他にはない良い感じのグルーヴが生まれたりするので、メンバーのフレーズを活かす形も取り入れるようにしてます!
どういう思いでライブをしているのか話した事ないので定かではないですが、自分達よりも長く生きてる分、苦労してきた事とか人生経験が多いので、その分一個一個のライブに対する思いが強いように見えますね!ライブ中の目が普段と全然違ってギラギラしてるんですよ。自分も30になって気づいた事があるのですが、この年になると責任を持つ事が増えてくるんだなと思いました。仕事ではそれなりの能力を求められて早い人は管理職になったり、又は独立して部下ができるようになったり人をまとめる責任がでてきます。家庭でも早い人は結婚して子供できて家族を守らないといけない責任がでます。独り身だとしても親が年老いていつ倒れてもおかしくない年齢になってきて老後の事を考えたりとこちらも家族を守らないといけない責任があります。その自分がしっかりしないといけないという責任が生まれるので、その芯になる部分がバンドにも反映して音に深みが出てくるのかなと自分自身感じています。
バンドってほんと不思議というか面白いです。確かに仕事と同じと思えばそうですよね。何か一つの目標に向かってみんなが一丸となって進んでいく。その中で引っ張っていく人がリーダーになる…。仕事と大きく違うのは絶対に楽しくないと駄目(お金などの利益目的ではない)だというところでしょうか。何のためかと聞かれればメンバー全員が楽しんで良い音楽を作っていくというか。誰か一人でも楽しめなくなった時点でバンドは終わるのかもしれません。バンドは家族みたいというのもありますけど、家族ともちょっと違う運命共同体で…単なる友達とも違います(笑)一緒に演奏するとその時何故かひとつになるんですね。不思議です。ほんとに。
年を取っていくにつれて責任感というか人生の真実がおぼろげに見えてくるのか…大切なものがはっきりしてくるというのはありますよね。この一日一日を、一瞬一瞬を大切に生きていくことを知るというか、ただ現在だけを刹那的に快楽を求めて生きるということに違和感を感じてきます。それが、その人自身の「深み」になってその人の出す音に現れるのかもしれませんね。
では、これが最後の質問です。
答えられる範囲でいいので、沖縄戦について金城さんの思うところを教えてください。
バンドやってて楽しいって思わなければ続かないですよね。利益目的もただの仕事になってしまいますからね。たまにワンマン社長的なワンマンバンドになってる人達とかいると思うんですけど、そうならないようにメンバーの個性を引き出してバンドにいる事に意味を持たせるように心がけてます。ただ、あまり変な方向に進まないように指針は統一するようにしてます笑。自分は今4つバンド掛け持ちしていて、各バンドの課題が出てきた時にそれを達成するのに追いつかない時がちょこちょこありまして泣。課題こなす為に寝るのを惜しんで練習してる事もあって体力的には辛いですが、それでも続けられるのは全バンド個人的に目的があるのとやってて楽しいからなんですよね。特に困難な時ほど達成できた時の喜びは格別で自分が成長できたのが実感できるんですよね。20代頃までは漠然と生活していたのが少しずつ明確になってきますよね。1日1日を大事に生きる為に一つ一つ自分の行いに意味を持たせるようにして深みを付けていってそれが自己形成に繋がるんですよね。
学生の頃から毎年6月23日(慰霊の日)に戦争を体験した人から話を聞いてお昼の12時に1分間の黙祷をするのが通例になってます。あと、ひめゆりの塔や平和祈念公園、防空壕があって遠足か社会見学で行くこともあり戦争について学びます。自分は祖母からよく戦争の体験談を聞かされていて、沖縄戦を描いた本や漫画なども祖母の家にあるので読んだりしていました。とまぁこういった感じで沖縄戦の事が身近にありまして、そこから総称して思う事は戦争はしてはしてはならないって事ですよね。これからも平和な沖縄であり続ける為にもずっと語り継げられないといけないと思います。
⬛話し手: YUJI KINJO (Mauerfall)
⬛聞き手: Nobuto Suzuki (unfaded)
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